※本記事は1つの情報源としてご活用ください。重要な変更を加える場合は事前にバックアップを取り、複数の情報源も参考にしながら操作してください。
必要なデータのバックアップ、BitLocker回復キー、アカウントやアプリの再設定方法を確認できていない場合は、パソコンの初期化を始めないでください。初期化はWindowsの不具合を直す有効な方法ですが、準備不足のまま進めると、ファイルやメール、アプリの利用環境を元に戻せなくなる可能性があります。まずは、これから紹介する8つのケースに該当しないか確認しましょう。
- パソコンの初期化をいったん止めるべき8つのケース
- データ・BitLocker回復キー・アカウントの確認項目
- 自分で初期化できる場合と、別の対応を優先する場合
注:この記事では、主にWindowsの「このPCをリセット」を「初期化」と表記します。メーカー独自のリカバリーや、USBメモリから行うクリーンインストールとは、手順や削除範囲が異なります。
パソコンを初期化してはいけない8つのケース
次の8項目のうち1つでも当てはまる場合は、初期化を始める前に作業を止めてください。初期化そのものが危険なのではなく、初期化後にデータや利用環境を戻せない状態で進めることが問題です。
初期化を開始する前の確認表
- 必要なデータを別の場所へバックアップしていない
- BitLocker回復キーの保存場所を確認していない
- 使用中のMicrosoftアカウントや確認コードの受信方法が分からない
- Officeや有料アプリを再インストールできるか確認していない
- メール、ブラウザ、アプリ固有データの保存場所が分からない
- ストレージ故障の警告や明らかな異常がある
- 仕事用・学校用など、組織に管理されているPCである
- 不具合の原因が分からず、初期化以外の回復方法も確認していない
1つでも該当する場合は初期化をいったん止める
確認できない項目がある場合は、不足している準備を整えてから初期化の必要性を判断します。
たとえば、写真や文書を保存していても、Officeを登録したMicrosoftアカウントが分からなければ、初期化後にOfficeを再インストールできない可能性があります。Windowsが起動しにくい原因がストレージの不調であれば、初期化よりもデータの保存を優先すべき場合があります。
反対に、必要なデータを保存し、回復キーやアカウントも確認できており、ストレージ故障の疑いもない場合は、初期化が有効な回復方法になることがあります。
「データ」「利用環境」「原因」の3段階で確認する
初期化前の確認は、次の3段階に分けると判断しやすくなります。
- データを戻せるか
写真や文書だけでなく、メール、ブラウザ、アプリ固有データを別の場所へ保存できているか確認します。 - 利用環境を戻せるか
BitLocker回復キー、アカウント、Officeや有料アプリのライセンス情報を確認します。 - 初期化が症状に合っているか
Windowsのソフトウェア不良なのか、ストレージなどのハードウェア不良が疑われるのかを確認します。
この3点を確認した後に、初期化の方式や実行手順を選びます。
「個人用ファイルを保持する」でもバックアップが必要
Windowsの「このPCをリセット」には、個人用ファイルを残しながらWindowsを再インストールする「ファイルを保持する」という選択肢があります。
この方法では、文書や写真などの個人用ファイルは保持されますが、後からインストールしたアプリと設定は削除されます。パソコン全体を初期化前と同じ状態へ戻せる機能ではありません。
リセット中のエラーやストレージの不具合まで防げるわけではないため、重要なファイルは初期化するPCとは別の場所へ保存してください。
各選択肢で保持・削除される内容は、Microsoft公式の「PCを初期状態に戻す」でも確認できます。
⚠️ 「ファイルを保持する」はバックアップではありません
個人用ファイルが保持される設定でも、アプリや設定は削除されます。処理中の問題やストレージ故障に備えるためにも、必要なデータは外付けストレージやクラウドなどへ別途保存してください。
写真や文書以外のデータも確認する
バックアップというと、写真やWord、Excelのファイルだけを思い浮かべるかもしれません。しかし、初期化後に困りやすいのは、保存場所を意識せずに使っていたデータです。
次のようなデータがないか確認してください。
- デスクトップ、ドキュメント、ダウンロードフォルダー内のファイル
- メールソフトに端末内だけで保存されているメールや連絡先
- ブラウザのお気に入り、保存情報、拡張機能
- 年賀状、会計、画像編集などのアプリ固有データ
- ゲームのセーブデータや追加コンテンツ
- OneDriveなどの同期対象外になっているフォルダー
- プリンターやスキャナーなどの専用ソフトと設定情報
メールやアプリのデータが端末内に保存されるか、サービス側に保存されるかは、使用しているアプリや契約内容によって異なります。初期化前に、各アプリの公式ヘルプや保存設定を確認しましょう。
コピーしたデータを実際に開いて確認する
外付けストレージやUSBメモリへファイルをコピーしただけでは、バックアップが正しく完了したとは限りません。
保存先を開き、重要な写真、文書、表計算ファイルなどが実際に開けるか確認してください。コピー中にエラーが発生していたり、ファイル本体ではなくショートカットだけをコピーしていたりする場合があります。
クラウドへ保存した場合も、同期が完了しているか、別の端末やWebブラウザからファイルを開けるかを確認します。初期化するPCの中だけで確認を終わらせないことが大切です。
BitLocker回復キーを確認できない場合は先に進まない
BitLockerは、ドライブ内のデータを暗号化して保護するWindowsの機能です。暗号化されたドライブをWindowsが自動的に解除できない場合、48桁のBitLocker回復キーを求められることがあります。
ハードウェアや起動環境の変更、Windows回復環境からの操作などをきっかけに、回復キーが必要になる場合があります。初期化や回復操作を始める前に、回復キーへアクセスできるか確認しておきましょう。
⚠️ BitLocker回復キーは第三者へ送らないでください
回復キーは、暗号化されたドライブを解除するための重要な情報です。問い合わせフォーム、メール、チャット、SNSなどへ送らないでください。Microsoftは、失われた回復キーを取得、提供、再作成することはできないと案内しています。
回復キーの主な保存先
BitLocker回復キーは、端末を設定したときの状況により、次の場所に保存されている可能性があります。
- 個人用のMicrosoftアカウント
- 職場または学校のアカウント
- 印刷して保管した用紙
- 回復キーを保存したUSBメモリ
- パソコンを最初に設定した家族など、別の人のMicrosoftアカウント
回復キーの入力画面では、回復キーIDが表示される場合があります。Microsoftアカウントに複数の回復キーが登録されている場合は、画面に表示されたIDと照合します。
詳しい確認先と探し方は、BitLocker回復キーの詳しい探し方も参考にしてください。
Microsoft公式の保存先や注意事項は、BitLocker回復キーの検索方法で確認できます。
回復キーが見つからない状態で操作を広げない
必要なデータが暗号化されたドライブ内に残っている場合は、回復キーを確認できないままBIOS設定の変更、パーティション削除、クリーンインストールなどへ進まないでください。
初期化できるかどうかだけでなく、現在のドライブ内に取り出したいデータが残っていないかを先に確認する必要があります。
仕事用や学校用のPCでは、回復キーが組織側で管理されていることがあります。自分で管理設定を解除せず、所属先の管理者や指定窓口へ確認してください。
Microsoftアカウント・Office・アプリを元に戻せるか確認する
初期化後はWindowsの初期設定に加え、Office、有料アプリ、メール、ブラウザなどの利用環境も再設定します。
ファイルのバックアップができていても、アカウント情報やライセンスを確認していなければ、以前使っていたアプリを再び利用できない可能性があります。
利用中のアカウントとWindowsの状態を確認する
初期化前に、次の情報を確認してください。
- Windowsで使用しているアカウントの種類
- Microsoftアカウントを使っている場合のメールアドレスとパスワード
- 確認コードを受け取る電話番号やメールアドレス
- WindowsのエディションがHomeかProか
- Windowsがライセンス認証されているか
同じPCへ同じエディションのWindowsを再インストールする場合、デジタルライセンスによって自動的に再認証されることがあります。通常の初期化だけで、必ず新しいライセンスを購入するわけではありません。
一方、マザーボード交換などの大幅なハードウェア変更がある場合は、通常の初期化とは別に再認証が必要になることがあります。現在の認証状態やエディションを、初期化前に控えておくと確認しやすくなります。
ライセンス認証の仕組みは、Microsoft公式のWindowsライセンス認証ページで確認できます。
Officeを登録したアカウントを確認する
日本で販売された個人用のOfficeプレインストールPCでは、Officeの再インストールやライセンス認証に、最初のセットアップで使用した個人用Microsoftアカウントが必要になる場合があります。
初期化前にMicrosoftアカウントへサインインし、サブスクリプションや購入済み製品の一覧に、使用しているOfficeまたはMicrosoft 365が表示されるか確認してください。
Officeが現在起動できるからといって、初期化後に自動的に元へ戻るとは限りません。どのアカウントを使って再インストールするのかを確認しておきましょう。
OfficeプレインストールPCの再インストール条件は、Microsoft公式のOffice再インストール案内で確認できます。
有料アプリや周辺機器の情報も残す
Office以外にも、再インストール時にアカウントやライセンス情報が必要なアプリがあります。
- 会計ソフトや確定申告ソフト
- 年賀状・住所録ソフト
- 画像・動画編集ソフト
- セキュリティソフト
- オンラインストレージやバックアップソフト
- プリンター、スキャナー、ペンタブレットなどの専用ソフト
アプリ名だけでなく、ログインID、購入した製品名、ライセンスの確認方法、公式の再ダウンロード先も控えておきましょう。
初期化後に削除されたアプリの一覧が表示される場合がありますが、ライセンスやインストーラーまで自動的に戻るわけではありません。
仕事用・学校用PCは管理者へ確認する
会社や学校から支給されたPC、組織のアカウントで管理されているPCは、自分の判断だけで初期化しないでください。
管理PCには、次のような設定が含まれている可能性があります。
- 組織が管理するBitLocker回復キー
- 端末管理やセキュリティポリシー
- VPNや電子証明書
- 業務・学習用の専用アプリ
- 社内サーバーや学校システムへの接続設定
初期化によってこれらの設定が削除されると、自分では復元できないことがあります。所属先の管理者、情報システム部門、学校の指定窓口へ先に確認してください。
初期化以外の回復方法とストレージ故障を確認する
Windowsの不調すべてに初期化が必要なわけではありません。症状が始まった時期やきっかけによっては、データやアプリを大きく変更しない回復方法を先に試せます。
システムの復元を確認する
更新プログラムのアンインストールなどを確認する
スタートアップ修復やシステムの復元を確認する
バックアップなどの準備を整えてから初期化を検討する
症状別の回復方法は、Microsoft公式のWindows回復オプションで確認できます。
Windows Updateによる再インストールも確認する
対応するWindows 11では、Windows Updateを利用して現在と同じバージョンのWindowsを再インストールし、システムファイルやコンポーネントを修復できる場合があります。
この方法では、アプリ、ファイル、設定が保持されます。ただし、すべてのWindows環境で利用できるわけではありません。古いバージョンのWindows 11や、職場・学校で管理されているPCなどでは、項目が表示されない場合があります。
利用条件と操作内容は、Windows Updateを使用して現在のWindowsを再インストールする方法で確認してください。
ストレージ故障が疑われる場合はデータ保全を優先する
初期化はWindowsを再インストールする処理であり、SSDやHDDの物理的な故障を修理する機能ではありません。
次のような状態では、初期化よりも重要なデータのバックアップとストレージの状態確認を優先してください。
- Windowsからストレージの重大な警告が表示されている
- ファイルを開けない、コピーできない状態が繰り返される
- 読み書きエラーやフリーズが頻繁に起きる
- 起動できるときと起動できないときがある
- HDDから普段とは異なる音がするなど、明らかな異常がある
これらの症状だけでストレージ故障を断定することはできません。ただし、Microsoftもストレージの重大な警告が表示された場合は、データをバックアップするよう案内しています。
故障が疑われる状態では、初期化や再起動を繰り返す前に、保存できるデータがないか確認してください。
Windowsのストレージ警告については、Microsoft公式のストレージデバイスに対する重大な警告も確認してください。
いきなりクリーンインストールへ進まない
「このPCをリセット」が失敗した場合でも、原因を確認せずにインストールメディアから起動し、パーティションを削除する操作へ進まないでください。
クリーンインストールでは、個人用ファイル、アプリ、設定、メーカー独自のカスタマイズなどが削除されます。Windows上から行う再インストールとは、データへの影響が異なります。
インストールメディアによる再インストールの違いは、Microsoft公式のインストールメディアを使用した再インストール方法で確認できます。
自分で初期化できるケースと作業を止めるケース
初期化を自分で進めてよいか迷う場合は、操作方法が分かるかだけでなく、初期化後に必要なものを戻せるかで判断します。
自分で進めやすいケース
データ、回復キー、アカウント、アプリの再設定方法を確認できており、自分が所有する家庭用PCで、ストレージ故障の疑いがない場合です。
作業を止めるケース
バックアップできない、回復キーが不明、故障が疑われる、管理PCであるなど、初期化後に元へ戻せるか判断できない場合です。
自分で初期化を進めやすい条件
次の項目をすべて確認できる場合は、自分で初期化を進めやすい状態と考えられます。
- 必要なデータを別の場所へ保存している
- 保存したファイルを実際に開けることを確認している
- BitLocker回復キーへアクセスできる
- 使用中のアカウントへサインインできる
- Officeや必要なアプリを再インストールできる
- 自分が所有する家庭用PCである
- ストレージ故障の警告や明らかな異常がない
- 初期化が症状に合った回復方法だと判断できる
条件を満たしていても、「ファイルを保持する」と「すべて削除する」では影響が異なります。画面の説明を読み、選択内容を確認してから実行してください。
データや回復キーを確認できない場合は作業範囲を先に確認する
次のような場合は、自分で初期化を開始する前に、データの取り扱いや作業範囲を確認する必要があります。
- Windowsが起動せず、バックアップできない
- BitLocker回復キーが見つからない
- ストレージ故障の可能性がある
- 初期化とデータ保全のどちらを優先すべきか分からない
- 仕事用・学校用PCである
- 初期化後に必要な設定を戻せるか分からない
外部のPCサポートを利用する場合でも、データが必ず残るとは限りません。作業を依頼する前に、診断料金、データ保全の可否、初期化する範囲、追加料金が発生する条件を確認してください。
確認する項目は、PCサポートへ相談する前の料金・見積もり確認で整理しています。
初期化すると決めた後に方式を選ぶ
バックアップやアカウントの確認が終わり、初期化を実行してよいと判断できたら、初めて初期化方式を選びます。
Windowsでは、主に次の選択を組み合わせます。
- ファイルを保持する、またはすべて削除する
- クラウドダウンロード、またはローカル再インストール
どちらが適しているかは、インターネット環境、PC内のWindowsファイルの状態、削除したい範囲などによって異なります。
方式を選ぶ段階になったら、クラウドダウンロードとローカル再インストールの違いを参考にしてください。
⚠️ 初期化中に手動で再起動しないでください
初期化中は、画面が長時間黒いままになったり、自動的に複数回再起動したりすることがあります。Microsoftは、画面が15分以上黒くなる場合があると案内しています。ノートPCは電源アダプターを接続し、処理中に電源ボタンを長押ししたり、手動で再起動したりしないでください。
よくある質問(FAQ)
「個人用ファイルを保持する」ならバックアップは不要ですか
バックアップは必要です。個人用ファイルを保持する選択肢でも、インストールしたアプリや設定は削除されます。リセット処理の失敗やストレージ故障に備えるため、重要なデータは別の場所へ保存してください。
BitLocker回復キーが見つからなくても初期化できますか
選択する回復方法によっては初期化へ進める場合がありますが、既存の暗号化データへアクセスできなくなる可能性があります。必要なデータが残っている場合は、回復キーを確認できるまで推測で操作を続けないでください。
初期化するとOfficeは使えなくなりますか
Officeアプリは削除される場合がありますが、利用権まで必ず失われるわけではありません。初期化前に、Officeを登録したMicrosoftアカウントと、購入済み製品やサブスクリプションの表示を確認してください。
Windowsが起動しない場合でもバックアップできますか
症状やストレージの状態によって異なります。回復環境や別の方法でデータを確認できる場合もありますが、故障が疑われる状態で再起動や初期化を繰り返すのは避けてください。
会社や学校のPCを自分で初期化してもよいですか
自分の判断だけで初期化せず、所属先の管理者や指定窓口へ確認してください。組織のBitLocker回復キー、端末管理、VPN、証明書、業務アプリなどが設定されている可能性があります。
まとめ:パソコンを初期化する前に8つのケースを確認する
パソコンの初期化は、Windowsの不具合を改善するために有効な場合があります。ただし、準備不足のまま始めると、データや利用環境を元に戻せなくなる可能性があります。
- バックアップを確認する:写真や文書だけでなく、メール、ブラウザ、アプリ固有データも確認します。
- 「ファイルを保持する」を過信しない:個人用ファイルが残る設定でも、アプリや設定は削除されます。
- BitLocker回復キーを確認する:Microsoftアカウントなどの保存先へアクセスできるか確認します。
- アカウントとライセンスを確認する:Windows、Office、有料アプリを初期化後に再利用できるよう準備します。
- 故障や管理PCでは別の対応を優先する:ストレージの警告がある場合はデータ保全、組織のPCでは管理者への確認を優先します。
必要なデータ、回復キー、アカウントを確認できない場合は、初期化をいったん止めてください。準備が整い、初期化が症状に合っていると判断できてから、ファイルの保持範囲や再インストール方式を選びましょう。
バックアップできない、BitLocker回復キーが見つからない、ストレージ故障が疑われるなど、自分で初期化してよいか判断できない場合は、作業を始める前に診断範囲と料金を確認してください。

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