Microsoft CopilotとGitHub Copilotの違い、Copilot Studio・Copilot Pro・GitHub Copilotの料金体系と主な用途、そしてあなたに最適なCopilotの選び方まで、初心者にも分かりやすく徹底解説します。
Copilotとは？Microsoft AIアシスタントの全体像
Copilot（コパイロット）とは、Microsoftが提供するAI搭載のアシスタント機能の総称です。「副操縦士」を意味する名前の通り、ユーザーの作業を支援し、生産性を向上させることを目的としています。
一般的には、Copilotには大きく分けて以下の種類が存在します。
🪟 Windows Copilot
対象：Windows 11ユーザー全般
用途：OS操作支援、情報検索、簡易タスク実行
料金：基本無料（一部機能はPro版）
📄 Microsoft 365 Copilot
対象：ビジネスユーザー、法人
用途：Word、Excel、PowerPoint等での業務支援
料金：法人向け月額制
💻 GitHub Copilot
対象：開発者、プログラマー
用途：コーディング支援、テストコード生成
料金：月額$10～（個人向け）
「Copilot」という名称は複数の製品で使われているため、調べてみると混乱しやすい印象があります。本記事では、各Copilot製品の違いを明確にし、どのCopilotが自分に適しているかを判断できるように解説します。
Copilot Studio（Microsoft Copilot Studio）とは
Copilot Studioは、組織の特定のニーズに合わせて独自のAIエージェントやコパイロットを構築・カスタマイズするためのエンドツーエンドの会話型AIプラットフォームです。
Copilot Studioの主な用途
Copilot Studioは、単なる汎用的なAIアシスタントではなく、特定の業務タスクを実行したり、企業の内部データと連携したりするエキスパートシステムを開発するために使用されます。
カスタムAIエージェントの構築と展開
個人、チーム、または部門に対応した独自のAIエージェントを作成し、手作業のワークフローを自動化できます。自然言語またはグラフィカルインターフェイスを使用して、特定の業界、部署、役割のニーズに合ったスタンドアロンエージェントを設計、テスト、公開できます。
Microsoft 365 Copilotの拡張
既存のMicrosoft 365 Copilotの機能を、組織のニーズに合わせて強化・カスタマイズできます。特定の業界やカスタムチューニングされたモデルが必要なシナリオやタスクに特化した応答を生成するために、Azure AI Foundryモデルを使用できます。
エンタープライズデータの活用
エージェントは、Microsoft Graph、Dataverse、ローカルファイル、Azureクラウドなどのソース全体にエンタープライズデータを指定して、質問回答能力を強化できます。また、Azure AI検索で構築したナレッジインデックスを使用して、カスタムのRetrieval-Augmented Generation (RAG)操作を実行できます。
Copilot Studioの業務別活用例
| 業務分野 | エージェントの用途例 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 人事（HR） | 採用スクリーニングプロセスの自動化や、最適な候補者の特定・ランク付け | 採用業務の効率化、候補者評価の標準化 |
| 情報技術（IT） | チケットの受付、作成、分類、コミュニケーションを自動化するITサポートエージェント | サポート業務の24時間対応、初期対応の高速化 |
| 法務 | リスク、逸脱、コンプライアンス問題を検出する契約書レビュー自動化エージェント | 契約審査時間の短縮、リスク見落とし防止 |
| 営業（Sales） | 顧客データから傾向を自動的に識別し、パーソナライズされたアップセルの提案を提供 | 売上機会の最大化、営業担当者の負担軽減 |
| 金融 | 差異を検出し、正確な貸借対照表を維持し、修正を自動化する貸借対照表調整エージェント | 会計精度の向上、決算業務の効率化 |
| マーケティング | 公開前に不一致やリスクを検出するコンプライアンスチェックエージェント | ブランドリスクの低減、法規制遵守 |
ベネッセホールディングスでは、Copilot Studioを活用し、社内イントラネットの情報を基に社員からの問い合わせに回答するカスタムAIアシスタント「社内相談AI」を開発しました。体感的には、問い合わせ対応時間が大幅に短縮されたとの印象があります。
Copilot Studioの対象ユーザーと料金
Copilot Studioは、開発者やITチーム、および独自のAIエージェントを容易に構築・調整したいパワーユーザーを主な対象としています。特に、Copilot for Microsoft 365の汎用的な機能を超えて、組織固有の知識やワークフローにAIを深く接続する必要がある企業向けです。
Copilot Studioの料金は、月額¥29,985（25,000メッセージ/月相当、年払い）から提供されており、従量課金制も利用可能です。環境により必要なメッセージ数は異なりますので、導入前に使用量を見積もることをおすすめします。
Copilot Pro（Microsoft Copilot Pro）とは
Copilot Proは、個人ユーザー、フリーランサー、および標準の無料版Copilot以上の高度な機能や性能を求めるパワーユーザーを対象とした有料のサブスクリプションプランです。
Copilot Proの主な機能
AIモデルとパフォーマンスの強化
GPT-4oやGPT-4 Turboのような最新の高性能な大規模言語モデル（LLM）への優先アクセスが提供されます。これにより、ピーク時でも高速で高精度な応答を得ることが可能です。また、無料版にある月間利用回数のクレジット制限が撤廃され（実質無制限）、より頻繁にAI機能を利用できるようになります。
Microsoft 365アプリケーションとの連携
Copilot Proは、Microsoft 365 PersonalまたはFamilyのサブスクリプションを前提としており、Word、Excel、PowerPoint、Outlookなどのデスクトップ版およびWeb版OfficeアプリでCopilot機能を利用できます。また、モバイルアプリ（スマートフォン版）でもAI支援機能が拡張利用可能になります。
カスタマイズとメディア生成
ユーザー自身が特定の指示やナレッジベースに基づいて、独自のカスタムCopilotチャットボットを作成できるCopilot GPT Builderへのアクセスが可能になります。また、Microsoft Designer（旧Bing Image Creator）による画像生成において、より高解像度の画像生成が可能になり、高速で画像を生成できるスロットが提供されます。
Copilot Proの注意点（法人版との違い）
Copilot Proは個人ユーザー向けのサービスであり、法人向け製品であるMicrosoft 365 Copilotとは利用範囲が異なります。組織データへの非接続：Copilot Proは、Microsoft Graphを通じて企業の内部データ（Teamsのチャット履歴、SharePointのファイル、Outlookのメールなど）にアクセスし、それらを回答に利用することはありません。主な用途は「高度な個人利用」に限定されます。
Copilot Proの料金
Microsoft Copilot Proの月額料金は$20（または日本円で月額3,200円相当）です。無料版と比較して、以下のメリットがあります。
• 最新AIモデルへの優先アクセスと高速応答
• 月間利用回数の実質無制限化
• Microsoft 365アプリ（Word、Excel等）でのAI支援
• カスタムCopilot GPTの作成機能
• 高品質な画像生成機能
GitHub Copilot（ジットハブ コパイロット）とは
GitHub Copilotは、開発者やプログラマー向けのコーディング支援に特化したAIツールです。Visual Studio Code等のエディタと統合し、リアルタイムでコード補完、テストコード生成、バグ修正支援などを提供します。
GitHub Copilotの料金プラン（2025年時点）
GitHub Copilotには、個人向けと法人/チーム向けの複数のプランが用意されています。プランによって提供される機能、特に高度なAIモデルの利用枠や管理機能が異なります。
| プラン名 | 対象ユーザー | 料金（月額/ユーザー） | プレミアムリクエスト（月間） | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Free | 個人開発者、お試しユーザー | 無料 | 50回 | 基本的なコード補完・チャット機能（利用回数制限あり） |
| Pro | 個人開発者向け標準 | $10（年間$100） | 300回 | 回数制限なく基本機能を利用可能、有料プランのベースモデル利用は無制限 |
| Pro+ | 高度な機能/AIモデルを求める個人 | $39（年間$390） | 1,500回 | Proの全機能に加え、より多くのプレミアムリクエスト |
| Business | 企業、チーム向け | $19 | 300回/ユーザー | ユーザー管理機能、ポリシー制御、セキュリティ強化機能（法人向けIP補償含む） |
| Enterprise | 大規模組織向け | $39 | 1,000回/ユーザー | Businessの全機能に加え、組織固有のコードベースやドキュメントを学習させる高度なカスタマイズ機能 |
プレミアムリクエストの仕組み
2025年6月4日以降、GPT-4.5やClaude、Geminiなど、高性能なAIモデルを利用する際に「プレミアムリクエスト」という利用枠を消費する仕組みが導入されます。
• 各AIモデルには性能に応じた「乗数」が設定（例：GPT-4.5の乗数は50）
• 有料プランのベースモデル（現在のGPT-4.1など）を使った通常のコード補完やチャット機能の利用は、プレミアムリクエストを消費しない（実質無制限）
• プレミアムリクエストの消費は、ユーザーによる1回の明示的な要求（チャットでの1回の送信など）に対して、選択したAIモデルの乗数分がカウントされる
GitHub Copilot無料利用の対象者
• 認証済みの学生
• 教育関係者
• 人気のあるオープンソースプロジェクトのメンテナー
これらの対象者は、通常、Copilot Proプランを無料で利用できる場合があります。一般的には、GitHubの学生パックや教育者向けプログラムに登録することで適用されます。
法人向けプランのメリット
GitHub Copilot BusinessおよびEnterpriseの利用者は、以下の追加メリットを受けられます。
• Copilot Copyright Commitment（IP補償）：GitHub Copilotが生成したコードの著作権侵害で訴えられた場合、Microsoftが防御と費用負担を行う
• データ保護：ユーザーのコードスニペットが製品改善のために収集されないように設定する機能（デフォルトでOFF）
• 管理機能：管理者が組織全体で利用ポリシーを一括設定できる
※IP補償を受けるには、Microsoftが提供するリスク軽減策（フィルタリングなど）の使用が条件となります。
💻 Windows 11でCopilotを使いこなすには
Windows 11に統合されたCopilot機能の詳しい使い方や設定方法、プライバシー設定、無効化手順については、以下の関連記事も併せてご覧ください。
あなたに最適なCopilotの選び方
Copilotには複数の種類があるため、自分の用途や環境に合ったCopilotを選ぶことが重要です。以下のフローチャート形式で、最適な選択肢を見つけましょう。
個人利用 vs 法人利用
個人利用の場合：
• Windows 11の基本機能として使いたい → Windows Copilot（無料）
• Word/ExcelでAI支援が欲しい → Copilot Pro（月額$20）
• プログラミング支援が欲しい → GitHub Copilot（月額$10～）
法人利用の場合：
• 業務効率化とOffice連携 → Microsoft 365 Copilot
• カスタムAIエージェント構築 → Copilot Studio（月額¥29,985～）
• チーム開発でのコーディング支援 → GitHub Copilot Business/Enterprise
主な用途で選ぶ
OS操作・情報検索： Windows Copilot（無料）
文書作成・データ分析： Copilot Pro または Microsoft 365 Copilot
プログラミング： GitHub Copilot Pro/Pro+
カスタムAI開発： Copilot Studio
業務自動化： 業務自動化ガイドも参考に、Copilot Studioを検討
予算で選ぶ
無料で始めたい：
• Windows Copilot（Windows 11標準機能）
• GitHub Copilot Free（制限あり）
月額$10～20程度：
• GitHub Copilot Pro（$10）
• Copilot Pro（$20）
法人・本格導入：
• Microsoft 365 Copilot
• Copilot Studio（月額¥29,985～）
• GitHub Copilot Business/Enterprise（$19～$39/ユーザー）
Copilot活用時の注意点とセキュリティ
Copilotを安全かつ効果的に活用するためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。
• 機密情報の入力は慎重に： Copilotに機密情報や個人情報を含むプロンプトを入力する際は、お使いの環境のセキュリティポリシーを確認してください
• データの利用： 一般的には、個人向けプランではユーザーデータが製品改善に利用される可能性があります（設定で変更可能な場合あり）
• 法人向けプランの利用： 法人でCopilotを利用する場合は、適切なセキュリティ対策のもとで利用することが推奨されます
• アウトプットの確認： AIが生成した内容は、必ず人間が最終確認してから使用してください（特にビジネス文書や技術文書）
Windows 11のCopilotを使用する場合、プライバシー設定を確認し、必要に応じて調整することをおすすめします。詳しくはCopilotの賢い使い方と設定代行・プライバシーの記事をご覧ください。
Copilotのよくある質問（FAQ）
Q1: Copilot ProとMicrosoft 365 Copilotの違いは何ですか？
Copilot Proは個人ユーザー向けで、Microsoft 365 Personal/Familyとの組み合わせで使用します。組織データへはアクセスしません。Microsoft 365 Copilotは法人向けで、企業の内部データ（Teams、SharePoint、Outlook等）にアクセスし、組織固有の情報を活用できます。多くの場合、法人での本格的な業務利用にはMicrosoft 365 Copilotが適しています。
Q2: GitHub CopilotとMicrosoft Copilotは関係がありますか？
どちらもMicrosoftが提供するAI支援ツールですが、用途が大きく異なります。GitHub Copilotはプログラミング支援特化、Microsoft Copilot（Windows/Microsoft 365）は一般的な業務支援や情報検索に特化しています。開発者でない限り、通常はGitHub Copilotは不要です。
Q3: 無料版Copilotと有料版の違いは何ですか？
無料版（Windows Copilot）は基本的な情報検索やOS操作支援に限定されます。有料版（Copilot Pro）では、最新AIモデルへの優先アクセス、Microsoft 365アプリでのAI支援、利用回数の実質無制限化などのメリットがあります。体感的には、頻繁にAI支援を利用する場合は有料版の方が快適な印象があります。
Q4: Copilotを使うにはWindows 11が必要ですか？
Windows標準のCopilot機能を使うにはWindows 11が必要です。ただし、Windows 10サポート終了に伴い、Windows 11への移行を検討することをおすすめします。Web版のMicrosoft Copilot（copilot.microsoft.com）は、ブラウザからWindows 10でも利用可能です。
Q5: Copilot Studioは個人でも使えますか？
技術的には可能ですが、Copilot Studioは主に法人・組織向けの製品です。月額¥29,985～という料金体系も法人利用を前提としています。一般的には、個人ユーザーはCopilot ProやGitHub Copilotの方が適しています。
まとめ：Copilotを賢く選んで生産性向上
この記事では、Copilotの種類と用途、料金体系、そしてあなたに最適なCopilotの選び方まで包括的に解説しました。
• Copilotには複数の種類があり、用途によって最適な製品が異なる
• 個人利用： Windows Copilot（無料）、Copilot Pro（$20/月）、GitHub Copilot Pro（$10/月）
• 法人利用： Microsoft 365 Copilot、Copilot Studio（¥29,985/月～）、GitHub Copilot Business/Enterprise
• セキュリティとプライバシー設定を確認し、適切に利用する
• AIが生成した内容は必ず人間が最終確認する
Copilotの選択は、あなたの用途、予算、環境によって大きく変わります。環境により効果は異なりますが、適切なCopilotを選ぶことで、日常業務の多くを効率化できる可能性があります。
また、Copilotを最大限活用するには、Windows 11の最適化や、PC全体のパフォーマンス向上も重要です。総合的なアプローチで、生産性の向上を目指しましょう。
本記事の情報は、一般的なガイドラインを提供するものです。実際の効果は個人差や環境により異なる場合があります。ご利用は自己責任でお願いします。また、AIの仕様や料金体系は日々進化しているため、最新の公式情報も併せてご確認ください。設定変更やツール導入の際は、バックアップを作成することを推奨します。
Copilotの設定や活用方法でお困りの場合は、専門のサポートサービスの利用も検討してください。
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