「ウイルス対策ソフト」という悩ましいウイルス
- 2021/6/7
- パソコン日記
パソコンの利用は、自動車の運転にそっくりな面があります。
自動車の運転で大事なことは何でしょうか?高額な保険に入ること、ぶつかってもだいじょうぶな丈夫な車体のクルマに乗ることより、安全に配慮することが大事ですね。
いくら高額な保険に入っても、いくら頑丈な車に乗っても、安全運転を怠るのは許されません。
パソコンでも同じことがいえます。そこで、悩ましい存在となるのが「ウイルス対策ソフト」の存在です。
目立たなくなったウイルスの脅威
一昔前のコンピュータウイルスは、誰が見てもこれがウイルスだとわかる存在でした。
派手な画面を表示したり、突然音楽を鳴らしたり、ファイルを消去したり…と、感染したマシンに様々なアクションを起こし、恐怖を与えました。
しかし、今時のウイルスはこういうことをあまりしなくなりました。
そんなことをせずに、静かに動作してファイルの内容を盗み取ったり(ファイルを削除したり改変せずに)、そのパソコンにあまり負担をかけないように配慮しつつ他のマシンに向けて攻撃を仕掛けたり、普段はほとんど作動せず、重要な情報をやりとりしているときだけこっそり動いたりと、「おとなしく・より汚く」動作するようになりました。
また、パソコンの性能が大幅に向上したため、ウイルスによってマシンの性能が奪われていてもあまり気づけなくなっていたりします。
ウイルス対策ソフトという保険
任意保険に加入せずにクルマを運転する人を非常識な人と呼ぶのと同じことで、ウイルス対策ソフトを使わずにパソコンを使うのは非常識といえます。
ウイルス対策ソフトは万一の事故に備えて大きな頼りになる存在です。そのため、高度な検知機能・防御機能を備えた数々の製品が販売されています。
保険は、安全運転を免除するものではない
保険に加入している人が事故になると、保険金が支給されて事故が解決します。
しかし、「保険金が出るから、乱暴な運転をしてもかまわない」…こんなことは決して許されませんね。どんな高額な保険に入ろうと、安全運転を徹底するのは全ての運転者に課せられた鉄則です。
パソコンも、安全運転が大事
パソコンも同様です。高性能なウイルス対策ソフトを購入すれば、どんな危険な使い方をしていいというわけではありません。
やはり、操作する際は危険に遭遇しないように配慮しなければなりません。
- 興味本位で怪しいサイトに行かない
- 開発元や、信頼できるソフト配布サイト(窓の杜、ベクターなど)以外で二次的に配布されているソフトは入手しない
- 自分と無関係な人から送られてきたメールの指示に従わない
- オンラインショップを利用する際は、ドメイン名やサイトのデジタル証明書や法定表記をよく確認する
などといった、誰でもできる最低限の「安全運転」の方法は常に心がけなければいけません。
怪しい、何か変、と思えばそれ以上の操作を試みずに引き返すことが大事です。
官庁や大企業には個人向けパソコンとは桁違いに高性能なセキュリティシステムが組まれているのに、セキュリティ事故が発生するのは、結局は使う人の安全意識の欠如があるからなのです。
ウイルス対策ソフトが大きな負担をかけている
ウイルス対策を行うためには、様々な通信や多量の計算、ファイルの監視を行わないといけません。人間が一つの操作をするごとにウイルス対策ソフトがその操作に割り込んで処理を行います。
そのために決して少なくないメモリや、CPUの処理性能を「横取り」しているのです。
これは、中途半端なウイルスがマシンに負担をかけているよりも多い場合があり、ウイルスに感染していなくても、対策ソフトによってパソコンの処理が重たくなっているというケースは何も珍しいことではありません。
特に、何も設定しなければ最強の防御能力を発揮するようになっていますので、いってみれば「生活が苦しくなるぐらいに保険にお金をかけている」ような状態にもなっているのです。
無駄な設定を省いて負担を小さく
パソコンを安全に使う意識を高めれば、最強の防御能力に頼らずとも危険を遠ざけることができます。ウイルス対策ソフトの設定を見れば、明かに不要な機能もONになっていたりしますが、これらをOFFにしたり、機能の少ないウイルス対策ソフトに取り替えることで普段のパソコンにかかる負担を大幅に小さくすることができます。
危険・安全を見分ける力を付ける
「何が危険なのかわからない、だから最強の防御にする」というのは、安全運転を怠るための口実です。
何が安全で、何が危険かを見分けるのが運転者の最低限の仕事であるのと同じで、その意識でパソコンを使いましょう。
安全に対する配慮を怠ってウイルス対策ソフトに全面的に委ねるのは、一種のモラルハザードです。
いくらWordやExcelで豪華な資料が作れても、これができないうちはユーザとして完全に未熟です。
IT企業に就職後、フリーランサーとして独立。
主にWEBサイト運営、パソコン整備を行っています。